香川県高松市の産婦人科です。子宮がんや卵巣がんや乳がん検診など

医療法人社団 くろべクリニック

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子宮頸がんワクチン
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子宮頸がんワクチン(9価)

はじめに

9価HPVワクチン 9価HPVワクチンは、子宮頸がんや尖圭コンジローマの原因となるヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)の感染を予防するワクチンです。
9価HPVワクチンの特徴や副反応について、さらに、HPVワクチン接種とあわせて子宮頸がん予防に大切な、子宮頸がん検診についてご紹介します。
不安に思うことや、もっと知りたいことなどがありましたら、医師など医療関係者にご相談ください。

9価HPVワクチンについて

9価HPVワクチンはヒトパピローマウイルス(HPV6、11、16、18、31、33、45、52、58型の9つ)の感染を防ぐワクチンです。

子宮頸がんや尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)という、ごくありふれたウイルスの感染が原因で起こることが知られています。
9価HPVワクチンを接種することで、子宮頸がんの原因となるHPVの16、18、31、33、45、52、58型に加え、尖圭コンジローマの原因となるHPVの6、11型に対する抗体がつくられます。
9価HPVワクチンは、これにより子宮頸がんや尖圭コンジローマを予防するワクチンです。

9価HPVワクチンに含まれる9つのHPV型により、日本人の子宮頸がんの原因となるHPV型の88.2%をカバーします1)。

9価HPVワクチンに含まれているHPV型以外のHPV感染およびこれらによる病変の発症予防の効果は期待できません。

1) Sakamoto J et al. Papillomavirus Res. 2018; 6: 46-51.

接種スケジュールについて

接種スケジュール

9価HPVワクチンは年齢によって選択可能な接種回数が異なります。
事前に医師に接種回数を確認してください。

9価HPVワクチンは、通常腕の筋肉内に注射します。
十分な予防効果が得られるよう、必ず決められた回数・スケジュールで接種してください。

決められた接種スケジュールで接種ができない場合は、医師に相談しましょう。

1回目に9価HPVワクチンを接種した場合には、その後の接種においても9価HPVワクチンを接種してください。

接種後の注意点

    接種後の注意点1
  • 接種後にめまいやふらつき、失神などが起こることがあります。倒れないように注意し、すぐに帰宅せずに接種後30分程度は院内にとどまり、体重を預けられるような場所で、イスに座るなど安静にしてください。
  • 接種後の注意点2
  • 接種後は、注射部位を清潔に保ってください。
  • 接種後の注意点3
  • 接種当日は、過激な運動を控えてください。
  • 接種後の注意点4
  • 接種した日に入浴しても問題ありません。ただし、体を洗うときに注射部位を強くこすらないようにしてください。
  • 接種後の注意点5
  • 決められた回数の接種が完了しないうちに妊娠した場合は、医師にご相談ください。
  • 接種後の注意点6
  • 接種スケジュールを確認し、その後の接種においても初回と同じ種類のHPVワクチンを接種してください。

副反応について

9価HPVワクチンの接種により、次のような副反応があらわれることがあります。
異常が認められた場合は、すぐに医師、看護師、薬剤師に相談してください。

一般的にワクチンを接種すると、接種した部位が腫れたり痛むことがあります。これは、体の中でワクチン成分に対する反応が起こるための症状で、通常は数日間程度で治まります。長く続くなど、気になる症状がある場合は医師に相談してください。

特に注意が必要な副反応
  • 過敏症反応[アナフィラキシー(頻度不明)、
    気管支痙攣(頻度不明)、蕁麻疹(頻度不明)など]

    息切れ(呼吸が苦しいなど)、じんましんなどを症状とする重いアレルギー
  • ギラン・バレー症候群(頻度不明)
    手や足に力が入りにくい、手足の感覚が鈍くなるなどを症状とする末梢神経の病気
  • 血小板減少性 し はん紫斑病(頻度不明)
    鼻血や歯ぐきからの出血、あおあざなどがみられる病気
  • 急性散在性脳脊髄炎(頻度不明)
    発熱、頭痛、手足が動きにくい、歩きにくい、意識の低下などを症状とする脳などの神経の病気
【その他の副反応】

頭痛、注射部位の痛み・腫れ・赤み
 頻度10%以上

体がふらつくめまい、のどの痛み、悪心(吐き気や胸やけ、胃がむかむかする)、下痢、注射部位のかゆみ・内出血・しこり、発熱、疲れ
 頻度1~10%未満

上咽頭炎、インフルエンザ、おう吐、上腹部痛、腹痛、筋肉痛、関節の痛み、注射部位の出血・血腫・熱っぽさ・硬結・知覚低下、注射部位反応、だるさ、無力症(まぶたが下がる、物がだぶって見えるなど)
 頻度0.5~1%未満

蜂巣炎(皮ふ局所の痛みと熱を伴った赤い腫れ)、リンパ節の腫れや痛み、感覚の低下、気を失う、手足の痛み、寒気、注射部位の知覚消失
 頻度不明

接種後の失神と痛みについて

接種後、30分程度は安静にしてください。
また、接種後に体調の変化があった場合には、すぐに医師に相談してください。

HPVワクチンの接種後に、めまいやふらつき、失神などが起こることがあります。転倒してけがをしないように、次の3つの注意事項を守ってください。

3つの注意事項
  • 接種後に診察室から待合室などへ移動するときには、看護師や保護者などに腕を持って付き添ってもらってください。
  • 接種後30分程度は、背もたれや肘かけのあるイスなど、体重を預けられるような場所で待っていてください。
  • 待っている間は、なるべく立ち上がることを避け、座ってください。

気分が悪くなったり、めまいを感じたら、転倒しないようにイスにもたれかかる、しゃがむ、横になるなどして、すぐに受付や看護師、医師に知らせてください。

接種後にふらつきや失神が起こる理由

注射を打ったときの痛み、恐怖、興奮などによる刺激が脳神経のひとつである迷走神経を介して中枢に伝わり、心拍数や血圧が下がったりすることがあります。そのため、気分が悪くなったり、めまいやふらつき、失神などが起こります。これは、血管迷走神経反射とよばれ、多くの場合、注射後の失神が起こる原因と考えられています。血管迷走神経反射は思春期の女性に多いという報告があります。 特に注射への恐怖心が強い方は注意が必要です。

痛みやしびれ、動かしにくさ、不随意運動について
  • ワクチンの接種を受けた後に、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動(動かそうと思っていないのに体の一部が勝手に動いてしまうこと)などを中心とする多様な症状が起きたことが報告されています。
  • この症状は専門家によれば「機能性身体症状」(何らかの身体症状はあるものの、画像検査や血液検査を受けた結果、その身体症状に合致する異常所見が見つからない状態)であると考えられています。
  • 症状としては、①知覚に関する症状(頭や腰、関節等の痛み、感覚が鈍い、しびれる、光に対する過敏など)、②運動に関する症状(脱力、歩行困難、不随意運動など)、③自律神経等に関する症状(倦怠感、めまい、睡眠障害、月経異常など)、④認知機能に関する症状(記憶障害、 学習意欲の低下、計算障害、集中力の低下など)などいろいろな症状が報告されています。
  • 「HPVワクチン接種後の局所の疼痛や不安等が機能性身体症状をおこすきっかけとなったことは否定できないが、接種後1ヵ月以上経過してから発症している人は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しい」と専門家によって評価されています。
  • また、同年代のHPVワクチン接種歴のない方においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の「多様な症状」を有する方が一定数存在することが明らかとなっています。
  • このような「多様な症状」の報告を受け、様々な調査研究が行われていますが、「ワクチン接種との因果関係がある」という証明はされていません。
  • ワクチンの接種を受けた後や、けがの後などに原因不明の痛みが続いたことがある方は、これらの状態が起きる可能性が高いと考えられているため、接種については医師とよく相談してください。

    厚生労働省 「小学校6年~高校1年相当の女の子と保護者の方へ大切なお知らせ」(詳細版) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000901220.pdf( Accessed Mar. 13, 2023)

ワクチン接種後の「多様な症状」の発現状況については、これまでの臨床試験結果からでは判断できない点もあるため、今後さらに調査を行い、確認していく予定です。

子宮けい頸がん検診※について
※国の指針としては、20歳以上の女性において、2年に1回の受診が推奨されています。

世界各国の子宮頸がん検診受診率 子宮頸がん予防

9価HPVワクチンは子宮頸がんを100%予防できるわけではありません。
9価HPVワクチンの接種とあわせて、20歳を過ぎたら子宮頸がんの早期発見、早期治療のために、定期的に子宮頸がん検診を受けるようにしましょう。

日本は他国に比べて、子宮頸がんの定期検診受診率がとても低い状況です。

世界の各国では、子宮頸がん予防への意識が高く、アメリカやドイツでは約80%の女性が定期的に検診を受けています。今や先進国では子宮頸がん検診は、多くの女性に必要な検診と捉えられています。

Q&A

Q

接種のスケジュールが遅れてしまいましたが、どうすればよいでしょうか?

A

気づいた時点でなるべく早く接種して、その後のスケジュールを継続してください。最初から接種をやり直す必要はありません。

Q

年齢によって選択できるワクチンの接種回数は異なりますか?

A

9価HPVワクチンは3回接種することでHPV感染を防ぐために必要な免疫が得られることがわかっています。一方で、9歳以上15歳未満の女性では初回接種から6~12ヵ月の間隔を置いて2回目の接種を行うことでも十分な免疫が得られることがわかっていますので、2回接種を選択することも可能です。

Q

9価HPVワクチンの接種を完了したので、もう検診は受けなくてもよいでしょうか?また、これで一生、子宮頸がんや尖圭コンジローマにはなりませんか?

A

たとえワクチンを接種しても、子宮頸がんや尖圭コンジローマを100%予防できるわけではありません。20歳を過ぎたら、定期的に子宮頸がん検診を受けてください。

Q

決められた回数の9価HPVワクチンの接種を完了する前に妊娠が判明しました。どうすればよいでしょうか?

A

決められた回数の接種を完了する前に妊娠が判明した場合は、医師にご相談のうえ、次の接種を出産後まで延期してください。

Q

9価HPVワクチンを接種することで、子どもができにくくなるということはありませんか?

A

9価HPVワクチンの接種によって子どもができにくくなるという報告はありません。

Q

接種を予定した日に風邪を引いてしまいましたが、接種はできますか?

A

体調が極めてよくないとき、熱が37.5℃以上あるときは、9価HPVワクチンの接種はできません。医師にご相談のうえ、体調が回復してから接種してください。

Q

インフルエンザなど、他の予防接種を受けようと思っています。気をつける点はありますか?

A

他のワクチンを接種する場合、あるいはすでに他のワクチンを接種済みの場合は医師にご相談ください。